ハンガリー日本人ゴルフ部の年間行事のメインイベントの一つに「4ヶ国対抗親善ゴルフ大会」がある。これは、オーストリア、チェコ、スロバキア、ハンガリーの近隣4ヶ国の日本人ゴルフ部代表メンバーが各国の名誉とプライドを賭け、日頃の鍛錬の成果を競いあう親善コンペであり、毎年熱い戦いが行われている。

 第1回は2005年に開催され、今年2011年で第7回目を迎えた。幹事は各国持ち回りで、オーストリー⇒ハンガリー⇒スロバキア⇒チェコの順。各年の各国の参加人数にもよるが、団体戦は例年上位5名から8名のグロススコアの合計にて順位を競うガチンコ勝負、個人戦は参加者全員によるダブルペリア方式のコンペとなっている。団体戦は、第1回はオーストリアの優勝で始まり(との伝承)、第2-3回はハンガリーが連覇、第4-5回はスロバキアが連覇、第6回はチェコが念願の初優勝、今年の第7回は開催国スロバキアが優勝しており、ハンガリーチームは過去4年残念ながら優勝から遠ざかっている。

 近年、各国ともユニフォーム・帽子の色を統一し、チームワークを高めて、大会に臨んでいる。我がハンガリーチームは、帽子とポロシャツを赤で統一、チェコチームとオーストリアチームはポロシャツをそれぞれ、黄色と水色に統一、スロバキアチームは白いシャツにて揃えてきている。
 さて、強豪メンバーを揃え、戦力的には毎年優勝を狙えるハンガリーチームながら、ここ数年優勝を逃している要因がある。大会は通常日曜に開催されているが、土曜日に開催、ゴルフ場での練習ラウンドを行う為、自国開催の場合を除き、気合を入れて前日から現地入りをすることになる。例年、我がハンガリーチームはバスを1台チャーターし、土曜の朝にブダペストを出発し、現地での午後の練習ラウンドに向かう。日頃は自分の車でゴルフ場に行くのでゴルフとアルコールは切り離されているものの、この大会の時だけは、運転の必要がない為、また気の合う楽しいメンバーが揃っていることもあり、朝バスに乗り込んだ時から前夜祭(前朝?祭)が始まってしまうのである。
 もちろん、アルコールを交えながら話題にするのは、大会の作戦である。今年の場合、強豪メンバーの一人が前週に同じゴルフ場にてプレーを行っており、ホール毎の注意点、アドバイスを伝授する等、盛り上がりの中で作戦会議が行われた。ゴルフ場に到着する頃には既に皆ほろ酔い気分。その状態で、練習ラウンドを行うが、結構いいスコアでラウンドするメンバーが多いのである。「これなら明日もいけるぞー」、ということで、夜には本当の前夜祭、作戦会議を実施。各自が当日の練習ラウンドのスコアを元に、翌日の目標スコアを宣言する(もちろん、アルコールも入り、目標は高くなっている)。

 翌日は前夜のアルコールも抜け、心地よい緊張感の中、いよいよ本大会を迎えるが、ここ数年の傾向として、ほろ酔い状態の練習ラウンドの方がスコアの良い人が多い。二日酔いが影響するのか、あるいは、アルコールが抜けたことによる影響なのか、はたまた、本番の緊張によるものなのか、各自それぞれの理由はあろうが、本番に本来の実力を発揮できないメンバーが多いのが、ここ数年の敗因である。
 筆者は、駐在丸3年になるが、実はまだ4ヶ国対抗での団体戦の美酒を味わったことがなく(現在の多くのメンバーが同様だが)、何とか、駐在中に念願を叶えたいと熱望している。
 現在のメンバーでの遠征は非常に楽しいものであり、これはこれで継続しつつ、何とか、皆の本番での実力発揮の方法を見い出し、勝ち鬨をあげたいものである。来年こそは、是非、団体優勝奪還を目指しましょう。

(ひらまつ・たつひさ)