僕はこの補習校に9年間も通いました。あっという間に過ぎ去ったと実感しています。一瞬に過ぎ去った9年間ではありましたが、毎週土曜日に補習校に来るのがとても嫌でした。なぜかというと、平日通っている学校の友達は土曜日の朝から休むことができます。僕だけ補習校があるために、一緒に遊ぼうと誘われてもいつも断らなければいけませんでしたし、補習校に来なくても良い友達は、土曜日の朝はゆっくり起きることが出来ても、僕は朝7時に起きなければならなかったからです。
 9年目の今でも苦労しているのが、宿題を効率良くやりこなすことです。平日に通う学校の宿題に加えて、補習校で出される宿題も一週間のうちにやり遂げなければならず、それはそれでとても大変でした。
 補習校に初めて来た日の事は覚えていませんが、1年生の時に出来た友達と一緒に過ごした時のことはよく覚えています。休み時間に、みんなと一緒に息が切れるまで走り回ったり、机から転げ落ちるほど一緒に笑ったりしました。でも、僕は小学1年生の頃は、泣き虫で臆病でした。今、だいぶ成長したことを自分のことながらも実感しています。
 これまで仲の良い友達が日本へ帰国したり、新しい先生が来たりしたのを何度も見てきました。残念ながら、僕と一緒に1年生になったクラスメイトは、もう一人もいません。でもその代わりに新しい友達ができました。僕が補習校で特に好きだったのは行事です。自分の実力を見せることが出来るカルタ大会。でも今まで一度も優勝は出来ませんでした。他の学年の子と仲良くなれる遠足や合宿、両親に一年間の学習成果を見てもらえる学習発表会。色々な行事に参加してきましたが、中でも僕にとって一番思い出に残ったのは、やはり学習発表会です。

 小学1年生の時には、身体を使いながら漢字を表現して発表したことは、今でもよく記憶に残っています。中学1年生からは、3年間、毎年劇を通してたくさんの役を演じました。夏目漱石の役、女装をしてまでやり遂げた女役、今年演じた被告人の役、この中で一番気に入った役は女装をして演じた女役でした。でも皆さん、勘違いなさらないで下さい。僕は決して、そういう趣味ではありません。当日のリハーサルでも意見がなかなかまとまらないこともありましたが、本番は一番良い出来になったので、終わった後はホッとしたものです。何よりも学習発表会の後は、みんなとより仲良くなれたことです。
 僕は将来、何になりたいのか、何をしたいのか、正直なところまだわかりません。日本語は母や祖父母の言葉ですし、ハンガリー語と同様に僕の母国語でもあります。母国語は出来て損はありませんし、将来きっと役に立つと思うので、これからも勉強を続けたいと思います。
 僕は、これからも高等部で月2回、補習校に通います。高等部でも国語や日本の文化についてもっと理解できるように頑張りたいと思います。今までやさしく、時にアグレッシブに教えて下さった先生方、学校を支えてくださった運営委員の方々、そして、小学生の頃、毎週宿題に付き合ってくれたお母さん、補習校の授業料を払ってくれたお父さん、本当に9年の長い間、ありがとうございました。

(もちづき・みお)