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第21回大吉杯マッチプレー決勝戦対戦記
竹山 朋博


 ゴルフのマッチプレー競技というのは、日本のアベレージゴルファーにとって縁のないものだ。そもそも2人だけでのゴルフ予約が難しい。現に小生もハンガリーに来て初めてマッチプレーを経験したが、心理的な駆け引きも相まってとにかく「アツく」なる。1m程度のパットを決めただけでもガッツポーズが出てしまうし、当然ながら負けると実に悔しい。家に帰って何故あそこで・・・と一人反省会が始まり、延々と終わらない。
 そんな小生が今度こそはと誓って仕事以上(確信)の集中力で臨んだ第21回大吉杯マッチプレー大会。1回戦から好調を維持し、上司・同僚達の並々ならぬ協力もあって、なんと決勝まで駒を進めることができた。
決勝戦は大会史上初の連覇を目指す金広正人さんとの勝負。金広さんは準々決勝、準決勝と18番ホール、サドンデスまでもつれ込む接戦を制して勝ち上がり、勢いも気迫も十分に見えた。
 1週間前から上司を交えて作戦会議という名の皮算用が始まる。お互いのハンディキャップ(以下HC)は金広さんが15で小生が8、その差を8掛けして6つのホールに1打分のHCが金広さんに与えられる。社内作戦会議上(就業時間外)ではその「HCホール」に偏りがあることが見つかる。6ホールの内実に4ホールが6番から10番に固まっている。きっとこれが試合の流れを作る(ように見える)。つまり、必然的に、序盤有利→中盤不利→後半トントンという流れになるわけだ。
 その後、何度も脳内シミュレーションが行われた結果、HCのない序盤5ホールに最大限の集中力でかかり、可能な限り差を広げて金広さんの気勢を削ぐ作戦となった。
 11月1日土曜日。霧が立ちこめる中、遂に決勝戦が始まった。

 
 

 1、2番でいきなりナイスショットが重なり連続パーでスタート。作戦通り序盤から2upのリードを奪う。しかし3番ショートで金広さんが7mに付けてパー、4番でもアプローチをベタピンにつけ連続パーを奪われ振り出しに。さらに5番ロングでは3パットをやらかし、そこは引き分けとなったがここまでイーブン。もはや作戦は立ち消え一気に苦しい展開になってしまった。ただ「ショットは好感触だし、ここからなんとか踏ん張りたい」なんて思っていた。
 6番はなんとか引き分けに持ち込むが、7番で負け遂にリードを許す。しかしHCのない8番ショートで取り返しイーブンとなり、9番ロングを迎える。9番は多くの池が絡む最難関だが、金広さんが池に落としてしまい、小生有利となり勝ち。作戦は全く機能しなかったが、1upリードで前半を終えた。
 しかしここで霧が濃くなりコースはクローズ。勝負は翌日へ持ち越しとなる。
翌朝も霧がでて、ゴルフ場側が一時クローズを宣言し、我々は再開まで待機。緊張しながら待つのは正直しんどいものだった。
 3時間後、霧が晴れた10番ホールから勝負は再開。ティショットはボチボチ、残り150mラフからオンして思わずヨッシャ―!と叫んだが、金広さんが3打目をピン奥2mにつけ、それを沈めてパー。残念だがHCが効きここは金広さんの勝ち。
 続く11番はお互い決めきれず分け、12番は金広さんのティショットが右の斜面へいってしまうミスとなり再び1upのリードを奪った。そこから13番、14番はまたもやお互いにパットを決めきれず分けとなり1upのリードを保ったものの、プレッシャーのせいか前日と打って変わってミスが多い展開だった。しかし15番ではお互い2オン。先に打った小生が残り1.5mを残したのに対し、金広さんがなんと12mの下りラインを読み切りバーディで四度目のイーブン。正直これはマズい!と浮き足立ったように思う。
 16番ロング、追いついた金広さんに勝利がちらついたのかティショットが右のウエストエリアへ、さらに2打目もウエストエリアから出られず。こちらもティショットミスで残り約280mが残るラフからの第2打。胃の痛みが増す中「ココが勝負所だ!」という声が聞こえた(気がした)。ココで相手のミスにつけ込めれば「相手の心を折れる」のではと閃いたわけだ。そうなると緊張感が急に抜け、アドレナリンが噴き出してきた。かくして2打目はナイスショットとなり残り100m地点へ、実際これで流れが来たように思う。結果パーで1up。
名物ホール池越え17番ショート、金広さんは18番HCの前倒しを宣言。しかし小生のティショットはピンの僅か左を通過しピンフラッグと重なるバーディチャンスとなる。それがプレッシャーになったか定かではないが、金広さんのティショットは僅かに届かずバンカーへ、そこから3オンとなり4打目はわずかにカップを外れ勝負あり、2&1で小生の勝利となった。
 こうして振り返ってみるとなかなかの好勝負だったのではと自画自賛してしまうが、長い歴史を持つこの大会では過去にも「アツい」勝負がなんども繰り広げられている。この大会を主催されている大吉店主の飯尾欽哉さんには本当に感謝するとともに、次回第22回大会は幹事として大会を盛り上げていきたい。
 最後に、次回大会に参加してみたいと思われる方は、まず日本人ゴルフ部に参加いただきHCを取得する必要があります(ゴルフ部HCを本大会に使用している)。3月末あたりから開催となりますのでそれまでに取得して頂ければ間に合うことになります。多くの参加者で次回も「アツい」大会になることを祈っています。

(たけやま・ともひろ Ryowa Hungary Trading)
 
 

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