2006年5月6日の夜にブダペスト・フェリヘジ空港に独りで降り立ち、その足でタクシーにてケチケメートのホテルに向かった事を今でも鮮明に記憶しています。それから、あっと言う間に5年が過ぎてしまいました。今回の海外赴任は小職にとって始めての単身生活の始まりで、不安と期待が複雑に絡み合っていました。先ずは生活の要である住居を決めるべく、ケチケメートのホテルに滞在しながら、不動産屋経由で色々な物件を集め、週末を活用してブダペスト市内のアパートを不動産屋のハンガリー人と共に下見に行きました。
 単身生活や業務から来るストレスを癒す為には、如何にプライベートタイムをリラックス出来るかが重要だと思っていましたので、結構時間を掛けてアパ−トを探し、実際に入居したのは6月16日でした。時間を費やしただけあって、部屋からの眺望、部屋への採光共に最高で、オーナー夫婦を含めて今でも大変満足しています。住居も決まり本格的にハンガリーでの生活が始まりましたが、住居と工場が約100km離れていることもあり、5年間の走行距離は軽く20万kmを超えてしまいました。
 ハンガリーの高速道路状況は周辺国、例えば、チェコ・スロバキヤ・スロベニア・セルビア・クロアチア・ウクライナと比較すると大変恵まれた環境でした。元々車の運転が好きで免許取得からこれまでの40年間に、日本車・アメリカ車・ドイツ車の13車種を乗り換えた位で、かなりのカーキチで毎日の運転は特に苦にはなりませんでした。日本帰国後は是非ともドイツのターボディーゼル車に乗りたいと思っています。
 もう一つ大きなハンガリーでの思い出と言えば、やはりハンガリーワインとの出会いです。ハンガリー国内には大きな所で約23箇所のワインヤードがあり、赤・ロゼ・白そして貴腐ワインと様々なテイストを楽しむ事が出来ます。ハンガリーワインの良さは、兎に角香りが素晴らしい事、色は言うまでもなく、2003年、2006年となると賞賛の言葉もありません。日本で勿論手に入りませんし、今まで試した事もありませんでしたので、特にレッドワインの素晴らしさは言葉で表す事が出来ません。ワインクーラーと共に愛用のビラニー・セクサードのレッドワインを持ち帰るつもりでいます。
 ここで、約4年間「ハンガリー日本人ゴルフ部」の副代表を務めさせて頂いた事もあり、少しハンガリーでのゴルフを振り返って見たいとも思います。正直、ハンガリーに赴任するまでの5年程は日本でゴルフからは遠ざかっていまして、アメリカで生まれたゴルフへの飽くなき情熱は何時しか薄れ、ハンガリー着任まではゴルフへの期待感は余り強くなかったのが本音です。でも、ハンガリーでのゴルフを通じ色々な人間関係が生まれ、また、小職のゴルフ魂に火が点いてしまいました。会員皆様のゴルフに対する情熱や努力には見習うべき所が多々あり、ライバル意識から来るゴルフに対する取り組みも日増しに高まり、ゴルフシーズンが終わった12月以降もゴルフ仲間と冬季耐寒練習に取り組んだものでした。20代から60代と年齢に関係なく、ドライバーの飛距離を競ったり、グリーン上の種種のゲームに興じたり、プレー終了後の勝ち負けに喜怒哀楽したのも今では懐かしい思い出です。小職の戯れゴルフに長くお付き合い頂いた皆様には衷心より深くお礼申し上げます。一方で、5年間の業務を通じて改めて学んだ事は、「言うは易し、行うは難し」が実感です。
 最後に、長いようで短かったハンガリーでの5年間を楽しくもあり思い出深く送れましたのは、偏に会員皆様のご厚情とご理解の賜物と深く感謝致しております。4月の中旬には離洪する事になりますが、ハンガリー日本人ゴルフ部の益々の発展と皆様のご健勝を心より祈念しております。これからのゴルフシーズンを前にパンノニアを離れるのは断腸の思いですが、サラリーマンの宿命として受け入れています。本当に5年間有難う御座いました。
(みやざき・よしふみ 日清食品)