私が初めてコバケンさんのコンサートを聴きに行ったのは、いつだったろうかと思い起こすと、一度目のハンガリー赴任を終えた10年ほど前の2005年のこと、それも日本でした。ハンガリーでは、コバケンさんのチケットを買いに行っても、動くのが遅かったのか、いつも完売だったからです。2008年から再びハンガリー赴任となり、コバケンさんのコンサートに出かける機会が増えました。そして、今回、コバケンさんのハンガリーデビュー40周年コンサートを聴きに行くことができて、つくづく良かったなと思っています。
 3月14日から始まったコンサートを追っかけました。その中での、一番想い出深い出来事を書かせていただくことにしました。
 3月30日のショプロンでのコンサートの後、コバケンさんご夫妻を囲んでの夕食会を設けていただき、私も、ご一緒させていただきました。何と、私の正面に、コバケンさんが座られて、ドキドキ。きっと、食事も喉を通らないし、しゃべれない・・・と、思っていましたが、コバケンさんから、「皆さん、自己紹介を」と、切り出され、順番に自己紹介が始まりました。私の番になった時に、「あ、確か大福の・・・、お名前は、ようこさん」と、奥様が、言って下さいました。大感激です。2011年11月、ブダペストのイタリア文化会館のコンサートで差し入れした大福を覚えていただいていました。食べ物の威力大です(奥様の名前も、「ようこ」です)。
 自己紹介の後は、緊張も少しほぐれたので、コバケンさんのお心遣いに感謝です。ビールで乾杯!喉を通らないかもと思っていた料理も、しっかりといただきました。会話が弾む中で、ご夫婦の仲が、とてもいいなぁと、思う場面がいくつもありました。詳細は、割愛させていただきますが、しっかりとコバケンさんを支えていらっしゃる奥様、その奥様に、優しい言葉をかけられているコバケンさん。お二人とも、とても気さくに話しかけて下さったので、楽しい食事会となりました。
 何でも話していいと言われたので、初めてコバケンさんのコンサートを聴きに行ったコンサートのアンコールの最後に、コバケンさんが「アメイジング・グレイス」をピアノで弾いて下さったのが、とても心にしみて、感動したことをお伝えしました。
 11時すぎまで楽しい食事会が続きましたが、コバケンさん達は翌日のコンサートのためにジュールまで移動される時間となり、食事会はお開きとなりました。
 私は、またいつか、コバケンさんのピアノ演奏が聴ける日を夢見ながら、皆さんとレストランを後にしました。

(こむら・ようこ)