フランスからハンガリーへ。国が変わったことで大きく変化したことがありました。
 一つ目は、全校生徒が約60人と聞いて、ものすごく驚いたことです。なぜなら、パリの学校では全校生徒が200人以上いたからです。家族で学校見学に来た時、印象的な出来事がありました。緊張していた僕が、6年生の教室で挨拶したとき、一人の男の子が、「どうも、どうも」と言って握手してくれました。佑一君です。初対面なのに、笑顔で迎え入れてくれたことは、今でも忘れられません。今までと違い、迎えられる側になって、初めて転校したことを実感しました。
 初登校の日、正直不安でいっぱいでした。まだ、みんなのことを知らなかったので、「どうしよう」と戸惑いがありましたが、2か月程で不安はなくなりました。共通の趣味をもっている人もいたし、自分からみんなに流行らせたものもあります。何かと気が合う人や気軽に話せる人もできました。今では、学校に行くのがとても楽しみです。
 二つ目は、勉強時間です。フランスでは、自分の部屋がありませんでした。しかし、ハンガリーの家には自分の部屋があり、勉強に集中できる環境です。そのため、勉強の時間が増え、自主学習に工夫を取り入れることができました。パリの学校に比べて人数が少なく、みんなで意見を出し合っていろいろな考え方を知ることができて嬉しいです。
 もう一つ、変わったところがあります。それは、挨拶です。フランスに5年間もいたから今でもハンガリー人に会うと、「ボンジュール」とつい言ってしまいます。今もまだ、「ヨーレゲット」とすぐには言葉が出てきませんが、意識して言えるように気をつけています。ハンガリー人の人たちは、挨拶をすると笑顔で返事をくれます。お店でも店員さんがきちんと目を見て挨拶してくれます。だから、ハンガリーで挨拶をすると、とてもいい気分になります。ぼくは、世界のどの国にいっても、みんながあいさつをしていることに気がつきました。人と人とが関わるためには、挨拶がとても大切なことだとわかりました。
 ハンガリーに来てみると、国によって、学校によって、いろいろと違う部分があることを感じると同時に、世界でも共通している大切な部分があることも知ることができました。
 ハンガリーに来るときに自分なりの目標を立てました。それは、たくさんのハンガリー文化に触れることです。ハンガリーには、多くの世界遺産があると聞いています。自分にとって勉強になるので、そんな場所をいつか訪れてみたいです。また、ハンガリー語を覚えて、お店などで使ってみたいです。そうして、自分の経験を広げたいと思います。遊びも勉強も暮らし方も、パリや日本にいるみんなに自信をもって話せるような生活をしていきたいと思います。

(わたなべ・かずき)